Problem-BLの感想・探究の視点~高校生4人との本音トーク~
現在当団体では、高等学校の校内外で、グループワークを活性化させる「高校生チューター(ピアチューター)」の育成に力を入れています。
ある高校では4名のピアチューターの育成を行っていて、チューターが育った後に探究授業を展開していく予定です。
その生徒たちにProblem-BLチュートリアルを体験してもらった後、受講した感想、PBLの良い点、悪い点、自分たちがチューターとしてどうかかわるのか話し合いました。
生徒たちとの対話では、生徒の本音が出ていて、参考になる部分が多いかと思いますので対話の内容をそのまま公開したいと思います。
<PBLの感想>
司会者
まずはPBLの感想を聞かせてください。
Bさん
普段自分で考えないような世界についてのシナリオだったので、調べたり、みんなで話し合ったり、普段しないことができて考える力が身につき、意義も理解できたと思います。
Cさん
こういう活動を過去したことがなかったから良かった。
問題を自分達だけで考えたり、図書館に行って調べたりすることが、自分から動かないとできなかったことだから、いいなと思いました 。
Dくん
そもそも PBL をする前はいろいろな問題が存在することを知らなかったので、PBLに参加することでたくさんの問題があることを気づけるし、周りの人と課題を見つけてそれを自分で調べるって事が凄く大事だし、それで頭に残っていくのが日々成長してるなって感じました。
一同
(拍手)+(笑)
Aくん
らしくない、らしくない(笑)
司会
らしくなかったの?
Aくん
らしくないです。PBLを通して語彙力上がったなぁ。
Cさん
日々成長したなぁって感じかな。
司会
成長したんだ、よかったやん。
じゃあ、たまにPBLのような授業があったら 、良さそうだって事ですね 。
それでは宿題で出してた分ですが、これからのPBLのセッションではみんなはチューターをしてもらうわけです。
チューターをするにあたって、まず自分たちが議論したときのことを振り返り、良かった点・悪かった点を聞かせてください。
まず良かった点からいきましょう。
別に一人ずつ意見を言わなくても、 Aくんの意見に対してCさんが意見言ったりとか、Bさんの意見に対してDくんが語彙力を生かしてなんかいったりとか。
一同
(笑)
<PBL のGood Point>
司会
フランクに行きましょう。それじゃあ、今度はCさんから行きますか。
まず、グッドポイント、よかったなと思うことは何ですか 。
Cさん
グッドポイントはみんなで考えて出せるだけ意見を出せたこと。
(他同意)
Bさん
みんなが何か難しいことじゃなくても、何か発言をしようと努力していたところ。
(他同意)
司会
なるほど、PBLはそういう環境を生みやすいんだね、それは良かった。
Cさん
たぶん、同い年ってのもある気がする。
司会
そうそう今の話で思いついたけど、Dくん、例えばピアチューターの時とどう違った?
校内で同い年の子たちとするのと、校外でするのとではちょっと違うと思うんだけよね。
それぞれの良し悪しがあると思うけど 、校内で行うのはどうだった ?
Dくん
意見がちょっと出しにくいっていうのはあった。ちゃんと考えて言わないと何か突っ込まれるし結構勇気いる(笑)
司会
そうですか。今日もずいぶんいじられてるしね(笑)
次、Aくん、どうぞ。
Aくん
一つの問題を広い視野で見ていって、色んな意見が出たっていうのが良いところじゃないかなと思います。
Dくん
事実と仮説をたくさん出せたので、調べ学習で取り組む内容や学習課題を抽出することができた。
一同
(拍手)
司会
いいですね~。PBLの価値を改めて感じます。
みんなの良かった点を聞いて、またこれも良かったんじゃないかなと新たに思ったこととか何かあったら教えてもらえますか?
Aくん
想像力が身についたと思う。
Cさん
人数が増えれば意見がいっぱい出そうだけど、どれぐらいの人数がベストなのか分からない。
司会
適性人数はどのくらいだと思いますか?
Bさん
4人はちょうどいい。
Cさん
5人でも良さそう 。
Bさん
6人は絶対多い。5か4。
司会
学校でもこういうグループワークはあるでしょ?その時はどうですか?
Bさん
5人ですることが多いです。こういう授業を受けてる人は普通に話せるけど、話さない人は全然話さんよね。だから、私はめっちゃ話しかける。
司会
それがチューターの役割の一つだよね。
一同
おー!
司会
5人とか6人だと話さない人が出やすいわけですね、なるほど。
オランダとかやと15人ぐらいでやる大学もあるらしいよ。
一同
15-!(驚)
Aくん
積極性が ・・・
司会
ちなみに入試とかだと最低でも7・8人はいるところが多いと思うよ。
多いところは15人とか。
Bさん
それで喋らなかったら・・・意味ない。
司会
意味ないし、入試での評価が下がるよね。面接や小論の対策にもなるので、頑張ろう。
<PBL のBad Point>
では次、バットポイントをBさんから聞かせて下さい 。
Bさん
最初はやっぱり何をしたらいいかわからなかったので、ちょっと遠慮気味だったことです。
司会
何をしたらいいかわからない、どの段階かな?
ホワイトボードに事実を書いていくタイミング?
Bさん
そうです。それと仮説を広げていくタイミングとか。
司会
なるほど。ではどうしたらいいかな?
チューターとして、何していいかわかんないと思っている生徒に対して、Bさんがチューターだったらどういう配慮をしてあげたらいいかな?
Bさん
手順を分かりやすく説明して 、次に何をしたらいいかっていうのを年下でも優しく教えてあげればいいと思う。
司会
うんうん。ありがとうございます。
では、次Aくん。
Aくん
口数が少なかったことです 。
司会
口数が少なかった?ホワイトボード係をしてたからかな。
そうでもないと俺も思うけどね(笑)
Aくん
最初自分の中ではちょっと少なかったです。
最高潮まではいってないです。
司会
その原因を辿ると、グループで話さない生徒の心理が見えてくるかもね。
Dくんどうですか?
Dくん
一度経験したから、PBLの手順は把握していた。
今回はシナリオが難しかったこともあるけど、もうちょっと具体的な事例や内容を知れる段階まで行きたかったなと思いました。
司会
チューターをする時は、事前に調べておくとよいかもしれませんね。
本番で使うシナリオは、チューターだけで一度ディスカッションしておきましょう。
では次にCさんどうぞ。
Cさん
みんなと同じ意見もあったけど、他には、誰かが意見言ってくれる、これみんな言ってくれるよねと思って自分が言うのをやめたり、ためらったり、でもそういうときに言ったら「あー!」ってなった時もあったから、気づいたらさって言うべきだなと思いました 。
発言をしてもらうことが大切だと思う。
司会
なるほど、発言ね。
大学には科目等履修生という制度があって、その制度を利用してある大学院の講義を受講したとき、発言が学びを深めるってことで、果敢に発言する人が一番求められてた。
だから今Cさんが言った事っていうのは重要なんじゃないかなって個人的にはすごく思った。
Cさんの意見から僕らがチューターとして学べるのは、どう発言を出してもらえるように、声掛けもそうだけど、そういう場の雰囲気作りというかそういうのも重要になってくるのかなと思う。結構高度な話だけど(笑)。
<チューターがどのような関わりをすれば、PBLの良い点を伸ばし、悪い点を改善できるか>
司会者
では次のテーマに行きましょう。
チューターがどのような関わりをすればいい点を伸ばし、悪い点を改善できるか。
さっきまでの意見と重なるところもあるかもしれないけど、ご意見どうぞ。
Aくん
別の視点から考えさせるように促すことができるようになったら、班の人もやりやすくなるんじゃないかと思いました。
Dくん
議論が滞ることがあったら、その一つの視点からじゃなくて、別の視点から議論できるように促すことができたらいいと思います。
司会
すごく良い着眼点ですね。どんな知識や、視点を持ってたいら、滞った時に意見が出来るのか、後で議論しましょう。
Cさん
話し合いとかする時に雰囲気作りとか 環境づくりとかは結構大事だと思うから、誰かが意見を言ったらそれに頷いたり質問したり 、反応を毎回した方がいいかなと思いました。
Bさん
Cさんと似ているんですけど 、雰囲気作りが大切だと思います。
あまり話しない同級生との関係づくりは大変そうだなと思います。
下級生への配慮はきちんとしたいです。下級生が発言しやすいように積極的に話しかけたりして、少しでもいろんな意見が出たり場の雰囲気が良くなるようにしたらいいと思います。
Cさん
どうしても遠慮気味になるよね。
自分だけ喋ってもさ・・・。
Bさん
年下の人は絶対なるね・・・。同じ学年でもやっぱり気は使うかな。。
Cさん
こんな慣れた人とやったら、いっぱいいろんな意見を言えるけど 、全然知らない人とかそういう友達じゃない人とかと班になったりしたら、今は頑張って喋ってるけど、チューターとかいなかったら絶対意見が出ないと思う。
司会
良い問題提起をもらったと思います。
他に何かありますか?では、次に行きましょう。
<チューターの障壁>
司会
さきほど出てきていた「遠慮する人が生まれるだろう」というのは、チューターとしてグループに関わる上で障壁になってくると思うんだけど、他にどんな障壁が想定されますか?
Dくん
意見を出せない生徒が出てくることを不安要素ですが、意見を出す人が集中して意見が偏る可能性があります。
Cさん
ピアチューターとしても年齢が自分より高い人がいたらちょっとやりづらいかも・・・。
でもそこは議論だと割り切ってちゃんと進行しないといけない。
Bさん
同じ人ばっかりが意見を言うようなことが起こると問題だと思う。だけど、誰も発言しない状況が一番良くないと思うので、そこが問題かなと思います。
Aくん
さっきから言ってるんですけど、視点を変えていくことが大事だと思う。
一つのことでわからんってなったら 、分解していって分かりやすくすることが大事なんじゃないかと思う。
司会
OK分かりました。時間が迫ってきましたね。次に行きましょう。
プリントの裏、「チューターとしてグループワークに関わる場合、どのような障壁が想定されますか?」という点です。
先ほどからよくみんなから出てくる「議論が滞った場合、誰も発言しない場合という障壁を乗り越える方法」について議論してみましょう。
今、A君、B君からも意見が出たけど、もう少し考えてこのテーマについて議論をしてみましょう。
議論が滞った場合、要は発言しない人がいる場合 チューターとしてどう乗り越えるか?ということを、まずは個人のシンキングタイムを取ります。
そのあとみんなで意見を出し合っていきましょう 。
個人ワーク
Aくん
議論が滞るという障壁を乗り越えるために ・・・。
最初にルールを決めておいた方が議論が滞らないんじゃないか。
例えば意見を言った相手には反応する 、下級生とかもいるのであんまり上下関係を気にしないで発言してほしい。また、思ったことはすぐ言う。遠慮しないでズバズバ言ってほしい。
Cさん
どうやってそうさせると?
Aくん
ルール上で。
Cさん
誰かが発言した後は絶対拍手してくださいねとか言うってこと?
Aくん
そう。ルールを守らなかったら・・・。
司会
とてもいいと思うんだけど、他の人は、他にこんなルールあったらいいんじゃないって思うものある?
Aくんが言ったのは
・意見を言った相手には反応する
・上下関係は気にしない
・思ったことはすぐ遠慮せず言う
他に何かある?
Aくん
人が議論しているのは最後までちゃんと聞く。
人の意見を否定しない。
司会
他何かあるかな?かなり良い意見だと思うよ。
さっき話した経営大学院で 言われたこととほぼ一緒じゃないかな。
Aくんは他にルール以外に何か書いたことある ?
Aくん
ルールぐらいです。
司会
じゃあ右回り左回りどっちでもいいので どうぞ。
Bさん
学校の総合学習の時に思ったことが、発言する以前にやるべきこととか、考えること自体がはっきりわかってない人が多くいるかもしれないので、自発的に考えてくれる人たちじゃなくて、あんまりやる気がない人とかも一緒に参加する場合は、考えることをはっきり分かりやすく課題を提示したりするのがいいなって思いました。
あまり意欲がない人はまず考えてもいないので。それは総合学習の時間でそう思う。
Cさん
確かに。
Bさん
あと、もし議論が滞って静かになったりして意見が出なかった場合には、まず自分の意見を言ってみる 。
一同
あー、おー
Bさん
自分としてはこう思うんですけど 、似たような意見でも関連した意見でもいいのである人はどうぞみたいな感じで、自分の意見をまず言ってみるっていうのがいいなと思いました 。
(拍手)
司会
良い問題提起ですね。
やる気のない人 、考えることすらしない人たちの対処方法について、みんなの意見を聞きたい。
例えば、このPBLは考える手順みたいなのはセッションの進め方っていうのであるけど、もう少しどういう工夫をしたらいいとか何かあるかな?
何かそういうやる気がない人にはこういう風にしたほうがいいとか。
自分の身の回りにいるやる気のない人を思い浮かべて 、何か対処方法はないですか ?
Bさん
多分班の人が、自分以外の人がやる気があったり、考えたり発言する人がいっぱいいたら、多分ちょっとは自分もしようっていう気になるけど、そういう人が少ない班は全然進まないと思う。
Aくん
そういう空気がある人がするからいいやみたいな?
Bさん
自分せんでいいやって絶対なるけん。
それの対処法は・・・うーん・・・
たぶん、この総合学習嫌やって思ってる人いっぱい居ると思うんよね。
Cさん
班の構成を考える?
Bさん
Cさんは友達とか居るし、まだ男子も喋りやすい人やけんいいけど、誰もしゃべらん班は絶対いっぱいあるけん。どうしたらいいんやろチューターは。
司会
どうしたらいいと思いますか?他の方は。
班の構成っていうのは清水さんが言ったね、これは僕もいいと思います。
他に何かそういう対処法はあるかな ?
Aさん
自己紹介を深くさせる。(笑)
司会
世の先生達が一番悩んでいるのはこれじゃないかなと思います。
Aくん
自分のことを低く評価してしまうからですか?
司会
えっと、低く評価するっていうか、要はこういうテーマに対して学習しようとする時に、それに対してやる気を持てない生徒が授業中だったら絶対いるわけよ。そこに対してどう意欲を引き出すかっていうのは、世の先生が一番、教科にしても総合学習にしても一番悩んでいることだと思う。
ということでどう思いますか、皆さん?
Cさん
一番難しい。
Bさん
授業でもってことですよね?
司会
そうです。授業も。
Cさん
興味持たんやん?
Bさん
確かに先生の話になったら聞くけど、授業になったら聞かないって感じ。
司会
テーマは色々、教科のテーマもあるだろうし、総合学習でもあるだろうけど、やっぱりやる気ない人はやる気ないと思うので。
Cさん
やっぱり食いつきがいるんですか?
司会
食いつきっていうか、要はやる気のない人をどうやってグループで盛り上げるか。
Cさん
どうしていいかわからん。
Aくん
よし、元気出せ!って言う
Bさん
それチューターが言わなきゃいけないことだよ?
Cさん
(言って)出来ればいいよ。でも、出来ん人絶対居るよね?自分はまだできるけどさー、絶対話さん人っておるやん。
Cさん
うつ伏せになってる人とかおるやん?ほんと最悪。
司会
その人達にチューターとしてどう関わるかっていう話よね。
何か良いアイデアあるかな?
Bさん
絶対だるいって思われる。
Cさん
うざいとか思われる。
Aくん
そう思ったら終わりよね。
司会
もう、どうしようもないよね。
Aくん
デコピンする(笑)
司会
僕の高校や大学にもいっぱいいたんですよ、そういう人たちが。
だから変な大学とか行っちゃうと、そういう人間がいっぱいいるので絶対行かない方がいい。
Cさん
まじか。
Bさん
北九州市立大学の地域創生学群の学生は、みんなすごく積極的ですよね?
司会
地創はそういう学生が集まっているよね。とてもいいと思う。
大学はゼミで選ぶといいよ。この教授のゼミには、意識が高い真面目な人が集まるみたいなところがある。大学選ぶときは先生とたくさん会って、ゼミ単位でも選択することを勧める。
で、何の話だっけ?
やる気ない人にはどうするっていう話で 、一つ僕の考えを出すので、みんなの意見をください。
「最初からうつ伏せになっている、やる気ない生徒の対処」だけど、その場で何とかしようとするのは難しいのではないかと思う。
その生徒は眠いんだろうし、そのテーマに対してのスイッチも入っていないので、その時間は諦めた方がいいと僕は思う。むしろ他の生徒たちに迷惑がかからないようなベストな判断を僕だったらするかなと思う。周りがしていて、自分だけが寝ているんだったらきっと「恥ずかしい」という感覚になるんじゃないかな。
その時間の前後で、どうその生徒とチューターが関わるかっていうのが大事だと思っています。
例えばその生徒がカラオケカラオケが好きならカラオケ行って、カラオケに行く日の中で、「あの授業ってこうだよね」という風に授業の話題を出してみるとかどう?_
そういう生徒たちを変えるなら、一人ずつマーキングしていくしかないような気がする。
全員は一気には無理なんで 、一人ずつそういう風に日常的に関わるといいんじゃないかなって思うんだけど、どうだろうか?
Bさん
みんな課題が出るのがめんどくさい、その時点でめんどくさいってたぶん思う。
司会
でも今ここにいる4人は楽しいわけじゃん、こういう議論。
あ、楽しい前提で話したけど大丈夫?その楽しさを日常的になんか学校じゃないところとかで、話すとどうなんだろう。
友だちの中で、こういう議論が好きじゃない友達いる?
Cさん
全然いる
司会
そういう人たちに、学校じゃないところで、大人数ではなく2人でいる時とかに、こういう話すをするとどうなるかな?
Cさん
なんか、総合学習の前の日とか、めっちゃ嫌なんやけど・・・ っていう人いるけど
「そんなに楽しくない?」みたいな感じで言うと、「えー」みたいな・・・。
Bさん
班の人全然喋らないし、みたいな。
あと、なんか課題ていうか、レポートみたいなのめんどくさいみたいな。
司会
うんうん、それリアルやね
Cさん
自分のやる気がそがれる。
まあいろんな人がいるよなって自分の中で解釈して終わる。
Bさん
それよね。みんなそれ自体がだるいと思ってる。
Cさん
ここに出るよね、いつも人の考えの違いが。
司会
その子たちを、チューターになったらかきたてたいわけやん?
そうなるとやっぱ学校の中とか 、その時間の中じゃ結構限界がある気がするんだけど、、、
Cさん
あ、わかったわかった。
司会
なになに?
Cさん
それが始まる前にその人に対して 、積極的にいってみたいな。
絶対 にうまくいくからあなたがしゃべったら。
あなたは凄いんよみたいに言っとく。
Bさん
ちょっと行く気持ちに変わるかもしれん。
Cさん
あー、私って言った方がいいのかなっていう。
司会
今の清水さんの意見を聞いて思ったんだけど、もしかしてその生徒達ってグループワークで役に立った経験があまりないんじゃない?
一同
あー、確かに。
Bさん
結局誰かがしてくれるだろうっていう。
司会
もしかして、その人たちが意見をしてチューターが拾って、グループの議論が活性化したら、そういった生徒の意識もちょっとは変わるのかな?
Cさん
あれを得たいね、達成感。
Bさん
やっぱチューターがその意見を言わせないかんところに・・・
意見を言ったらそれを褒めるじゃないけど 、いいねって言えるけど。
ただそれを言わせるまでが難しい。
司会
うんうん、言わせるまでがね。
でもそれ、さっきのCさん戦略でいいやん(笑)事前に言ってって。。
Cさん
でも事前に言える人って人によって違うよね?
司会
確かにね、なるほどオッケーです!本音が出てて、良い議論になったと思います。
ちなみに総合学習は授業の中でやるから 、そういう比率がかなり高いんだけど。
みんながチューターをやるこの回に関しては、自主的に来るはずなのであんまりそういう人はいないと思う、今回はね。でも授業中はそういうことを考えてやってみるといいかもしれません。
それで、障壁を乗り越える手段としてもう一つはルール作り・・・あ、まだ途中だね。
途中で終わってたね、誰で終わってた?
次Cさんか、まだ半分しか終わってなかったね 。
すごい広がったね 。
Cさん
めっちゃ広がった。
えっと意見が滞った時って 、みんなの意見が出せなくなってしまった時なので、そこから出すのって結構難しいじゃないですか 。一旦止まった流れをまた動かすのは。
そういう時は全体に対して問いかけるんじゃなくて、なんかこの人話せそうだなという元気の良い人とかを把握しておいて、その人に直で問いかけるとかして勢いをつけさせたらいいと思います。
Bさん
全体に聞くのじゃなくて、個別にね
司会
いいですね。ただすでに議論が滞っている想定なので、いきなり振られるだけじゃ困るんだろうから、個人の意見に対して、具体的に聞くのがいいんだろうね。
「この意見に対してどう思う?」とか、「これってこういうことなのかな」とか。
聞く力はたぶんチューターはすごくいるんだろうなって、今Cさんの意見を聞いて思ったね。
Aくん
めっちゃメモしとかないかんね。
Cさん
そうそれ、ムズいよね。
Bさん
めっちゃ答えやすい質問よね。
Dくん
そうだねみんなのメモしておかないと。
司会
質問力を身に付けるためのワークショップがあるから、今度やってみようかね。
議論を続けましょう。Dくん、はどう思いますか?
Dくん
発言が滞っている時は、今自分たちがどういう内容について議論しているのかっていうのが、つまり混乱している状況もあり得るので、
今こういう経緯でこういう問題が出てきたんですがどう思いますか?って、状況把握をさせることが大事かなと思います。
司会
なるほど!!素晴らしい。
Cさん
一旦、整理する的な?
司会
今までの議論を振り返るみたいな感じよね。
そこで色々思考が広がる人もいるだろう。
議論がある程度発散しああと、シナリオもう1回読むとどうだった?「あ、そういえば」みたいな感じになったかな?
Cさん
あー、たしかに。
司会
OK。時間が来てしまいました。僕が勉強になった。ありがとう。
最後に議論が滞った場合の思考法というか、視点を紹介していきます。
何かの課題を探究するとき、「タテ・ヨコ・ナナメの視点でみるといい」
縦の視点は、“時間”。上が未来で、下が過去。
例えば、歴史的思考だとか、将来を見通す思考のことです。
議論が滞ったら、出てきている意見を歴史的に見て見るといい。今回のシナリオは、パラグアイの先住民族ムビア・グアラニー族の周辺に起こっている問題についてだったけど、その民族の歴史を辿った人もいたけど、そういうこと。民族だけじゃなく、国や地域の歴史を見て理解や考えを深めていく。
タテが時間だとすると、ヨコはなんだと思う?
Aくん
横・・・・場所?
司会
大正解。右を日本の都道府県にして、左を海外にしましょう。
議論が滞った場合、まずはタテとヨコの視点で聞いてみよう。
例えば今回のシナリオ、パラグアイの先住民族の話をした時に、オーストラリアやニュージーランドの先住民族はどうなんだろう?とかヨーロッパとかアフリカはどうだったんだろうっていうヨコで聞いていくというのが手法としてある。
議論の途中で僕が聞いた「日本の先住民は?」という質問は、まさにタテとヨコの視点での質問だね。
で、最後はこの斜め。斜めはジャンル。分野という言い方をした方がわかりやすいかな?
「経済」とか「科学」とか「工学」とか「政治」とか。
例えば経済っていうジャンルで考える。科学技術、科学というのはサイエンス。
議論を深めるには、こういう視点がいっぱい必要になってくるんだけど、経済だったり、科学技術だったり、政治だったり、
色んなジャンルの視点で、例えばムビア・グアラニー族の政治(地域づくり)や科学技術はどうだったんだろとか、彼らにどのような経済や科学技術が備わると良いのだろうとか。
このようにタテ・ヨコ・ナナメの視点で論点をみたら、たいてい議論は深まります。

こう見ると、学校の授業って結構大事って思わない?
だってまず歴史は学んでるじゃん、Aくん」の得意な歴史。で、古典も歴史。
漢文はヨコ、中国のものを扱うことが多いでしょ。中国の歴史とか。
で、英語はヨコでしょ、ヨコの歴史も学ぶし、未来ナナメの視点も学ぶことがあるのでは?経済への理解は社会で深まるし、科学とか技術は理科系の科目になってくる。
だから全部の教科がこの視点を養うのに繋がってくる。

一同
おーーーー!
司会
だから本当に勉強頑張ってね。
最後に発言してないこととかあるかな?
Cさん
結構でたよね
Bさん
でたよね
Cさん
「うわぁすごい!」と思ったことあったもん。
司会
じゃあもうこれで十分かな?
一同
はい。
司会
では、これでチュータ―できるってことで。
一同
苦笑
(終了)
こうして見返すとどうしてこのテーマで議論を深めなかったんだろうというテーマがいくつもありますが、それは今後議論していくことにしたいと思います。
この対話の一部をシナリオとして、Problem-BLをしてみても良いかもしれません。
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